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『夜のピクニック』を読んでみたら [本のはなし]

普段は海外のミステリー物しか読まないのですが、ごくごくたま~に
日本の小説が読みたくなります。
この間Amazonで買った9冊のうち、珍しく7冊も日本の小説を選んでしまいました。
で、そのうちの1冊が今日読み終わった『夜のピクニック』。

夜のピクニック

夜のピクニック

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫


今、映画が公開されているやつですが、これ、なんとも不思議な小説です。

 

物語の舞台は、修学旅行の代わりに、全校生徒が夜を徹して80kmの道程を歩き通す「歩行祭」。
高校生活最後のこのイベントに臨む主人公たちが交わす会話やさまざまな
キャラクターの登場人物の振る舞いなど、
「こんな会話したことあるなぁ」
とか、
「ああ、うちの高校にもこういうタイプの奴いたなぁ」
とか、ついつい共感してしまいます。
で、読み進めていくうちに、高校時代のいろんな出来事が頭に浮かんできて、
途中からは高校2年の時に行った修学旅行の出来事すべてが思い出されてきました。
いや、「思い出す」というのは正しい表現ではなくて、小説を読んでいる傍らで、
頭の半分で同時進行で修学旅行の「映像」が流れている感じ。
こんな感覚、初めてです。

 

ちなみに、僕の通っていた都立高校は「自由」を標榜していて、修学旅行も極力
生徒の自由とか自主性が尊重されていました。
行き先は4コース(「京都・奈良」「八ヶ岳キャンプ」「和倉温泉・金沢」とあとひとつ)
あって、クラスの枠を超えて好きなメンバー5~6人でグループを作って、好きなコースを
選択するスタイルでした。
僕らのグループは「和倉温泉・金沢コース」を選択しましたが、それも、団体行動は
東尋坊永平寺兼六園というメジャーな観光地だけ。
あとは事前にグループで決めて提出した「行きたいところ」に勝手に行くというもの。
22年も前のちょうど今頃がその修学旅行でしたが、そんな昔のことなのに、頭の半分で
映し出されている映像はとても鮮明で、初日の集合場所だった大宮駅の新幹線ホームとか
車中の出来事、訪れた各所でのエピソード、のぞいた女湯(こんなんも鮮明だったりします)、
深夜から始めて明け方まで続いた宴会、その宴会用に酒、おつまみを調達したパチンコ、
ちょっとした喧嘩、交わされた会話、ちょっと肌寒くて冷たい、でも新鮮な空気を吸う感覚、街のにおい。
ひとつひとつがとにかく鮮明。まったく色褪せてません。
今でも付き合いのある友人、年賀状だけ交わす仲の友人とか、まったく音信不通の友人。
バスの裏で隠れて一緒にタバコを吸ったやつは30そこそこで逝ってしまったり。
そんなことが頭の中に次々と現れます。
なんか、もう一回、あの時のメンバーで同じスケジュールで和倉温泉・金沢コースに
行ってみたくなっちゃいました。
う~ん、これってノスタルジー?

 

この本の帯には「ノスタルジーの魔術師が贈る・・・・」というキャッチがあります。
ホントその通りだわ。参りました。
日本の作家もなかなかやるじゃん。


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